M&A戦略とは?失敗しないための策定プロセスと正しい相談先の選び方

M&Aは、後継者問題や売上の伸び悩み、事業成長の加速など、さまざまな経営課題に対応できる手段の一つです。とくに近年は、経営者の高齢化に伴う「事業承継(第三者承継)」の手段としてM&Aを活用する事例が増えています。
 
ただし、M&Aを成功させるには、事前に「M&A戦略」をしっかりと策定しておくことが前提となります。この記事では、M&A戦略の重要性、失敗を防ぐアドバイザーの選び方、そして戦略によって好条件を引き出した成功事例について解説します。

なぜM&A戦略の策定が必要なのか?

企業がM&Aを実行する目的は、事業成長のみならず多岐にわたります。具体的には以下のような目的が挙げられます。
 
• 後継者問題の解決
• 創業者利益の享受
• 資本・業務提携による経営の安定化
• 新規ビジネスへの参入
• 既存事業の強化
• 成熟・衰退事業の再編
• グループ内再編
 
これらの目的を達成するためには、「どのような戦略を策定して進めていくか」が極めて重要になります。M&Aは単純な会社の売買ではなく、会社の状況に合わせて「株式譲渡」「事業譲渡」「会社分割」などのスキームを構築、または複数組み合わせる高度な判断が求められるからです。
 
戦略や目的を明確にしないままで進めてしまうと、以下のような致命的なリスクを招く可能性があります。
 
• M&Aの最大の目的であるシナジー(相乗)効果が得られない
• 想定よりも多くの時間や費用を要してしまう
• 売り手側の場合、大切な従業員が買収後に解雇されてしまう
• 売り手側の場合、本来の価値よりも安い価格で売却してしまう
 
会社の課題を明確にし、あらゆるパターンのシミュレーションの中から最良の施策を実行することこそが、M&A戦略の核心です。とにかく会社を売却する際には、戦略的に自社の価値を高める施策(磨き上げ)が不可欠となります。

失敗しないための「M&Aアドバイザー」選び 2つのポイント

高度なスキーム策定を自社のみで進めることは困難であるため、M&Aアドバイザーに依頼して二人三脚で進めるのが一般的です。
 
M&Aを成功させるためのアドバイザー選びには、絶対に抑えておくべき2つのポイントがあります。
 

ポイント①:会社の価値(株価)の算出方法を確認する

非上場企業の場合、市場価値(マーケット・バリュー)が存在しないため、独自の算出方法で株価を決定する必要があります。しかし、この算出方法は依頼するM&A会社によって異なります。
 
例えば、「純資産法」を用いて算出する会社もありますが、この方法にはM&Aによって将来発生する利益が含まれていないため、売り手側が損をしてしまうリスクがあります。
 
企業価値を適正に評価するためには、以下の要素を総合的に考慮して算出することがベストです。
 
• 純資産
• M&Aを実行して見込まれる利益(シナジー効果)
• 無形資産(顧客、取引先、従業員のスキル・技術・ノウハウ、市場シェアなど)
• 市場価値(同業種で上場している会社の株式相場など)
 
中小企業においては、営業利益から負債を引き、そこに営業権(のれん代)を上乗せする「時価純資産法(のれん代)」がよく用いられます。アドバイザーがどのようなロジックで自社の価値を算出するのか、事前に必ず確認してください。

ポイント②:仲介会社とアドバイザリー(助言)会社の違いを知る

中小企業のM&Aを請け負う会社には、「仲介会社」と「アドバイザリー(助言)会社」の2つのタイプが存在し、サービスの構造が根本的に異なります。

項目 M&A仲介会社 M&Aアドバイザリー(助言)会社
契約形態 売り手と買い手の双方と契約し、双方から報酬を受け取る 売り手、または買い手の一方とのみ契約し、一方から報酬を受け取る
目的・姿勢 売り手と買い手の妥協点を見つけてM&A成立を目指す 依頼者の利益を最大化するために動く
特徴 ・M&Aの売買情報量が多い
・M&Aプロセスを短期化できる
・資金調達など多様な相談に応じる
・税務・法務・条件交渉など多角的なアドバイスを行う[cite: 4]
・売却前には磨き上げを行い、会社の価値を高める
構造的課題 利益相反(一方の利益が他方の不利益になる)の問題を抱えている なし(依頼者の完全な味方として機能する)

会社を「高く売りたい」売り手と、「安く買いたい」買い手の双方の代理人となる仲介会社は、構造的に無理が生じやすく、買い手優先で交渉が進むことで売り手が不利な条件を飲まされるケースも少なくありません。

それぞれの特徴を正しく理解した上で相談先を選定することが大切です。

【成功事例】戦略策定によって最良の条件を引き出した中小企業

明確なM&A戦略によって、期待以上の結果を生み出した中小企業の事例をご紹介します。
 
• 企業データ
海外ゴルフツアーを企画する旅行会社(売上6億円、営業利益1000万円)
 
• 強み
顧客層が超富裕層(経営者、医師、弁護士、元大企業OBなど、平均年収数千万円)であること。M&Aに向けて、分散していた顧客情報をデータベース化しました。
 
• 売却の目的と条件
経営者の高齢化による事業承継。絶対条件として「従業員の雇用維持」と「顧客満足度の維持」を掲げました。
 
同業他社へ売却した場合、経営の合理化を理由に従業員がリストラされるリスクが高かったため、あえて「異業種」へ売却する戦略を選択しました。
 
結果として、異業種である大手高級車販売会社に破格の価格でM&Aが成立しました。
 
買い手側は超富裕層の充実した顧客リストを高く評価し、売り手側も、高級車販売会社の従業員が富裕層向けの顧客フォローや情報の取り扱いに長けていることから、雇用と顧客満足度の維持が期待できると判断したのです。
 
もし戦略を持たずに同業者へ売却していれば、雇用も顧客満足度も守れなかったかもしれません。目的を明確化し、戦略を練り上げることで、最良の条件でのM&Aを実現できた好例です。

失敗しないために。M&A戦略に関するよくある疑問(Q&A)

Q. M&Aを検討し始めたばかりで、自社の「目的」や「戦略」がまだ漠然としているのですが。
 
A. 最初から完璧な戦略を描けている経営者様はほとんどいらっしゃいません。だからこそ、初期段階で私たちのようなアドバイザリー会社へご相談いただく意味があります。
 
徹底したヒアリングと企業分析を通じて、潜在的な経営課題を洗い出し、自社にとってどのようなM&Aの手法やスキームが最適なのか、シミュレーションを重ねながら一緒に戦略を形作っていきます。
 
Q. 現在、仲介会社に依頼して企業価値を算出してもらいましたが、想定よりかなり低い金額でした。
 
A. 仲介会社は買い手を見つけやすくするため(早期成立のため)に、売り手企業の「無形資産(独自のノウハウや顧客基盤)」や「将来のシナジー効果」を十分に加味せず、保守的な算出方法を用いるケースがあります。
 
もし提示された株価に少しでも違和感や不満がある場合は、契約を進める前に、売り手側の利益最大化をミッションとするアドバイザリー会社へ「セカンドオピニオン」を依頼し、適正な企業価値を再評価してもらうことを強くお勧めします。

まとめ:正しい戦略と、利益相反のないパートナー選びが成功の鍵

M&Aを成功させるための大前提は、自社の課題と目的を明確にした「M&A戦略の策定」です。そして、その戦略を具現化し、最良の条件を引き出してくれるパートナー選びが企業の未来を大きく左右します。
 
アドバンストアイは、M&A仲介は一切行わず、ご依頼いただいた顧客の利益を最大化するために動く「M&Aアドバイザリー(助言)会社」です。
 
適正な企業価値の算出から、利益相反のない誠実な交渉まで、経営者様に寄り添いながらM&Aを進めてまいります。戦略策定の段階からでも、また現在の交渉に対するセカンドオピニオンとしても、正式なご契約に至るまで費用は一切いただきませんので、どうぞお気軽にご相談ください。

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