M&A仲介とFA(ファイナンシャル・アドバイザー)の違いとは?利益相反のリスクと正しい選び方

ポイント1)会社の価値の算出方法は?

M&Aはプロセス全般を通して、スキーム策定、条件交渉、契約、法務、税務、労務など専門的な知識が求められます。そのため一般的には、M&A仲介会社などの専門家に依頼して進めるケースがほとんどです。
 
大企業や上場企業、海外M&Aでは、銀行や証券会社とFA(ファイナンシャル・アドバイザー)契約を結ぶのが一般的です。一方、日本の中小企業では、欧米にはあまり見られない「仲介契約」という取引形態が主流となっています。
 
この記事では、M&Aにおける「仲介」と「FA」の違いと、それぞれの特長を詳しく解説します。

M&A仲介とFAの根本的な違い

M&A仲介とFA(ファイナンシャル・アドバイザー)の最も大きな違いは、「サービスの構造」にあります。

M&A仲介会社の特徴

  • 売り手と買い手の双方と契約し、マッチングを行う
  • 双方が仲介会社に仲介手数料(成功報酬)を支払う
  • 双方の妥協点を探りながら調整するため、比較的短期間で成立しやすい
  • 一方で、双方の利益を同時に叶えようとする立場上、「利益相反」が起きやすく、売り手が不利になるケースもある
  • FA(ファイナンシャル・アドバイザー)の特徴

  • 売り手、または買い手のどちらか一方のみと契約する
  • 契約した側のみが成功報酬を支払う
  • 契約した企業の利益の最大化を目的に、M&A成立を目指す
  •  
    売り手と契約した場合は、より良い条件・金額で売却できるよう、M&Aプロセスに入る前に企業価値を高める「磨き上げ」を行うこともあります。

    【仲介とFAの違い 比較表】

    項目 M&A仲介会社 FA
    (ファイナンシャル・アドバイザー)
    契約形態 売り手と買い手の双方と契約をしてマッチングを行います。 売り手、または買い手のどちらか一方のみと契約をします。
    手数料 売り手と買い手の双方が仲介会社に仲介手数料(成功報酬)を支払います。 売手、または買手の契約した会社のみが成功報酬を支払います。
    目的・姿勢 お互いの妥協点を見つけて調整をするため、比較的短期間でM&A成立を目指すことができます。 契約した企業の利益の最大化を目的にM&A成立を目指します。
    特徴・リスク 構造的に「利益相反」の問題を抱えており、売り手側が不利になりやすい傾向があります。 売り手と契約した場合、さらに良い条件や金額で会社を売却できるように、M&Aプロセスに入る前に「磨き上げ」を行います。

    なぜM&A仲介は「売り手」が不利になりやすいのか?

    M&A仲介は、一方の利益が他方の不利益に直結する「利益相反」という構造的な問題を抱えています。「会社を高く売りたい」売り手と「会社を安く買いたい」買い手、双方と契約して条件を調整すること自体が、利害が激しく衝突する構造だからです。
     
    特に中小企業の場合、売り手にとってM&Aは一生に一度限りであることがほとんどです。一方、買い手側は今後も会社を買い続けるリピーターになる可能性があります。
     
    仲介会社にとっては、単発の顧客よりもリピーターを優遇する合理的な理由があるため、買い手側に有利なサポートが行われやすく、結果おして売り手側が弱い立場になりがちです。
     
    こうした構造的な問題は中小企業庁からも指摘されており、『中小M&Aガイドライン』では、仲介会社に対して両当事者へ利益相反のおそれについて明示的に説明することなどが求められています。

    手数料の落とし穴。「レーマン方式」の算出基準に注意

    M&Aにおける報酬体系は、契約時の「着手金」、基本合意時の「中間金」、M&A成立時の「成功報酬」で構成されるのが一般的です。
     
    特に注意すべきは、最も大きな割合を占める成功報酬の計算方法です。一般的に成功報酬は「レーマン方式」で算出されますが、料率を掛ける基準額が「株式譲渡対価(売買金額)」なのか「移動総資産(買い手に移転する資産の総額で、負債も含む)」なのかによって、支払う手数料に極めて大きな差が生じます。
     
    料率自体はどちらの基準でも同じですが、移動総資産を基準にする場合は負債も含めて計算されるため、負債が大きいほど成功報酬が高くなります。
     
    【事例:株式価格7億円、負債5億円の会社の場合】
     
    株式譲渡対価ベースの場合:7億円を基準に計算され、成功報酬総額は3,300万円
    移動総資産ベースの場合:負債を含む12億円を基準に計算され、成功報酬総額は5,100万円
     
    同じ会社であっても、算出基準の違いだけで支払う手数料に1,800万円もの差が生じます。契約前には必ず、成功報酬がどちらを基準としているかを確認してください。
     


    ※着手金無料・成功報酬のみを謳う会社もありますが、自社の利益のために強引にM&Aを成立させようとする悪質な会社も存在するため、報酬体系だけで会社を選ばないように注意することも必要です。

    企業価値を高めるFA独自の「磨き上げ」とは?

    FA(ファイナンシャル・アドバイザー)は、売り手側がM&Aプロセスに入る前の事前準備として「磨き上げ」を行います。磨き上げには、リスクを取り除く作業と、強みを見つける作業の2つの側面があり、この有無によってM&Aの成否は大きく左右されます。
     

    作業の目的 具体的な内容
    リスクを取り除く作業 法務、財務、組織・人事・労務などの観点から、M&Aを阻害する要因がないかを調査・整備する
    強みを見つける作業 決算書の数字ではわからない、従業員や技術、顧客リストといった会社の見えない強みを見つけ出す

    FAはこれらの価値を見出し、より良い条件や金額で売却できるようにサポートします。

    ※FA会社によっては磨き上げを行わない場合もあるため、依頼前の確認が必要です。

    失敗しないために。M&Aアドバイザー選びのQ&A

    Q. 結局のところ、自社は仲介会社とFAのどちらに依頼すべきでしょうか?

    A. M&Aにスピード感を求め早く成立させたい場合や、費用を抑えたい場合は、仲介会社が向いているケースがあります。

    一方、従業員の雇用など譲れない条件がある場合や、より良い条件・金額での売却を希望する場合は、依頼者の利益を最大化するために動くFA(ファイナンシャル・アドバイザー)へ依頼するのがおすすめです。

    Q. 現在、仲介会社から提案を受けていますが、手数料や条件が妥当か不安です。

    A. 仲介会社は構造上の利益相反を抱えており、売買金額よりもM&A成立そのものを優先したり、リピーターとなり得る買い手側を優遇したりするリスクがあります。
     
    現在の提案内容や進め方に少しでも不利な点や不安を感じた場合は、契約を急がないことをお勧めします。
     
    M&Aセカンドオピニオンを活用し、依頼者側の完全な味方として機能するFAへ客観的な意見を求めるのも一つの方法です。

    まとめ:自社の真の味方となるパートナー選びを

    M&Aが成功するかどうかは、M&A会社の選定にかかっていると言っても過言ではありません。料金体系や実績はもちろんのこと、会社(担当者)と信頼関係を構築できるかどうかが最も重要です。
     
    アドバンストアイは、中堅・中小企業の経営者様にFA(ファイナンシャル・アドバイザー)という選択肢を提供することで、後悔のないM&Aをご支援しています。会社を磨き上げる「改善力」、独自の情報収集力、そして依頼者の利益を最大化する「構想力」。この3つの強みを活かし、売り手側の経営者様が買い手側の経営者様へ笑顔でバトンを渡せるよう、全力でサポートいたします。
     
    M&Aセカンドオピニオンなどのご相談も承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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