特別対談

岡本 行生×池井戸 潤

2018年6月11日、12日 ダイヤモンドオンライン掲載記事 映画『空飛ぶタイヤ』特別対談より ※一部写真を変えて転載しています。

ベストセラー作家、池井戸潤の「もうひとつの顔」。
中小企業の事業再生に携わる理由

タイヤ脱落による事故の責任を負わされた運送会社が、
リコール隠しの疑惑を抱えた巨大自動車会社に、捨て身の戦いを挑む―。
豪華キャストが集結し、6月15日より公開されている映画『空飛ぶタイヤ』は、
ベストセラー作家・池井戸潤にとって初の映画化作品となる。

池井戸氏の数あるベストセラー作品の中でも特に人気の高い本作の主人公は中小企業の社長だが、実は池井戸氏、中小企業を専門にM&A、事業再生のコンサルティングを手がけるアドバンストアイ株式会社の社外取締役として、今もビジネス界に参画している。
映画公開を記念して、作品と事業に込める思いを語り合った弊社社長・岡本行生との対談をお届けする。
(構成/大谷道子、撮影/佐久間ナオヒト)

『空飛ぶタイヤ』は信念を問われるドラマ

池井戸映画『空飛ぶタイヤ』、もう観てくださったそうですね。

岡本はい、試写で拝見しました。主人公の運送会社社長・赤松を演じた長瀬智也さんをはじめ、キャストの皆さんの迫真の演技にグッときたのと同時に、もし僕が実際、あの会社の社長だったら? ということを、やはり考えてしまいました。

不幸な事故が起こったとき、まずは真摯に被害者に謝罪することに向き合わなくてはならないわけですが、矢面に立って謝罪を続けながら、自分の社員たちを信じて巨大企業の不正を突き詰めていく、赤松社長のような強い気持ちを持ち続けることができるかどうか……。

池井戸同じような事故を起こした全国各地の運送会社に、「詳しいことを教えてくれ」と、わざわざ足を運んで調査するとか、実際にはなかなかできないことですよね。

岡本そうですね。仕事柄、多くの中小企業を見ていますが、社の存亡と社会正義の遂行がかかった苦しい立場に立たされたときに、あれほど辛抱強く真相究明をし続けられる会社は少ないのではないかと思います。自動車会社から提示された和解金に心が揺らぎ、現実的な手段で解決してしまう経営者も多いだろうと。

でも、そうした短期的な決断をすることで、企業として、人として失ってしまうもののほうが、実は大きいのかもしれない。小説を先に読ませていただいていましたが、『空飛ぶタイヤ』という作品はそのことを問いかけているんだろうなと、映画を見てあらためて感じました。

飲み友達から相談役へ

池井戸岡本さんと知り合ったのは、もう10年以上前になると思います。共通の友人の紹介で、最初は飲み友達だったんですよね。

岡本はい。ときどき食事をご一緒させていただいていて……。池井戸さんが作家として大変な名をなされている方だということはもちろん知っていたんですが、僕は出版業界の事情には疎くて。

金融機関にお勤めをされていたこともあって、事業に対してとても深い関心と知見をお持ちだった池井戸さんに、その発想力でぜひわが社にもアドバイスをいただきたいと思い、4年ほど前、恐れ知らずにも「社外取締役になってください」とお願いをしてしまいました。

池井戸いやいや、こちらもカジュアルに「うん、いいっすよ」と引き受けてしまいました(笑)。

そういうお願いは、たいていはお断りしているんですが、長いお付き合いで岡本さんのお人柄は知っていたし、手がけておられる事業のことも、よく存じていたので。

岡本もともと僕は証券会社の営業部に勤めていたんですが、当時から、顧客である中小企業経営者の方々に対して、トータルな意味で事業に資するアドバイスが十分にできていないのではないかという問題意識を持っていました。

その後、いくつかの部署の仕事を経験してアメリカに留学したとき、現地の大学の学生が、周辺の中小企業の方々に経営のアドバイスをしているのを見て、このモデルを日本に持ち込めないだろうか?と帰国してから提案したんです。

残念ながら会社ではその夢は実現できなかったので、それなら自分でやるかということで今の会社を立ち上げ、中小企業の事業継承などを目的としたM&Aのコンサルティングサービスを手がけています。

コンサルティングは「スポ根」だ!?

池井戸岡本さんの会社は、いわゆる「両手仲介」をやらないんですよね。そもそもM&Aにおける売り手と買い手って、利益相反しているわけでしょう?

売り手は高く売りたいし、買い手は安く買いたい。たいていのM&Aの会社は両方の話を聞いているけれど、岡本さんは売り手なら売り手、買い手なら買い手の、どちらかだけの代理人になる。そうして、売り手の側に立つときは、売りたい時期の2、3年前からその会社に関わって、コミュニケーションを取りながら信頼関係を醸成し、財務をブラッシュアップして、より高く売れるようアドバイスをしているんです。

岡本売り手と買い手、両方の事情を知ってしまうと、どうしても手早くまとめて、自分たちの利益を確保する方向で仕事をしてしまう恐れがありますが、それはやっぱりやってはいけないことなので、僕たちとしては、どちらか片側にしかつかない。その方針は、事業を始めた当初から明確にしています。

その上で、売り手の方に対しては、事前の事業の磨き上げで価値を高めるように二人三脚でのお手伝いを心がけているし、買い手の方には、より望ましい相手とマッチングができるように……。約2年前からは、東京大学の田浦研究室・鶴岡研究室との産学連携で、インターネットやAIを駆使して最適な相手先企業を探し出せる仕組みを作り始めています。

池井戸とにかく、岡本さんをはじめとして、会社の人たちが皆、熱いんですよ。僕も出席する月一回の役員会議や営業会議の場は、はっきり言ってスポ根マンガの世界(笑)。「この会社、大変だ。何とか救おうや!」と本気で討議していて。

岡本ハハハ。そうですね。普通は冷静になるはずのベテランの役員まで、クライアントに会って話を聞くと、つい「何とかしよう!」って。

池井戸「これは本当に顧客のためになるのか?」「利益より、お客さんのことを第一に考えよう!」といったことを、皆が真剣に言い合っている。あの様子を見たら、この会社にコンサルティングを頼みたいと感じる人は、たくさんいるんじゃないかな。

少なくとも、僕の小説にこれまで登場した中小企業の経営者の人たちは、間違いなく相談に行ったほうがいいと思いますね。

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アドバンストアイには大手上場企業から、中堅企業、小規模企業まで、さまざまな売上規模の会社のM&Aを手がけてきました。
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