中小企業がM&Aを行うメリットとは?売却相場と失敗しない相談先の選び方

近年、M&Aは大手や上場企業だけのものではなく、中小企業においても急速に増加しています。現在、中小企業のM&Aは空前の「売り手市場」と言われていますが、その一方で「売り手側が損をしてしまう」というトラブルも多く指摘されています。
 
経営者にとって、会社の売却は一生に一度の大仕事です。この記事では、会社売却で後悔しないために、中小企業がM&Aを行うメリット、売却価格の考え方、そして失敗を防ぐためのM&A会社の選び方について詳しく解説します。

なぜ今、中小企業のM&Aが急増しているのか?

中小企業庁の報告によると、2025年までに平均引退年齢(70歳)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人にのぼるとされています。
 
そのうち約半数にあたる127万社(日本企業全体の約3分の1)が「後継者未定」であり、さらにその半数にあたる約60万社が「黒字廃業」の危機に直面しているという深刻なデータもあります。
 
この現状を放置すれば、累計で約650万人の雇用と、約22兆円のGFPが失われる可能性があると指摘されています。黒字であるにもかかわらず廃業を選択せざるを得ない「後継者不在」という経営課題を解決する手段として、第三者への承継(M&A)が活発に行われているのです。
 
参考:中小企業庁「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題

中小企業の「売却価格」はどう決まる?

会社を売却する際、経営者が最も気になるのは「自分の会社はいくらで売れるのか(相場)」ということかと思います。
 
結論から言うと、M&Aにおいて「あなたの会社の相場は〇〇円です」と即座に金額を提示することは難しいです。会社の売却価格は、規模、成長ステージ、業界動向、株式市場の動向など、複合的な要素から総合的に算出されるためです。
 
また、M&Aは相対取引であるため、売り手と買い手の双方が合意すれば価格は成立します。逆に言えば、売り手がどれほど高い価値を主張しても、買い手が納得しなければM&Aは成立しません。

【重要】M&A会社によって「株価の算出方法」が異なる

企業価値を算出する方法は複数存在し、どのM&A会社(専門家)に依頼するかによって採用される手法が変わります。
 
・純資産価額
貸借対照表の純資産(資産から負債を引いたもの)をそのまま会社の価格とする方法です。分かりやすい反面、M&Aによって見込まれる将来の利益や、顧客ネットワーク、従業員のスキルといった「無形の価値」が一切評価に含まれないという欠点があります。
 
・時価純資産法・のれん代付き
資産・負債を時価で評価し直した「時価純資産」に、目に見えない会社の強みである「営業権(のれん代)」を上乗せして算出する方法です。中小企業のM&Aでは、この手法が最も一般的であり、売り手企業の価値を適正に評価することができます。
 
もし現在依頼しているM&A会社から提示された売却金額に納得がいかない場合は、医療の「セカンドオピニオン」のように、他の専門会社へ意見を求めることが非常に重要です。

高く売るための鍵は「無形の価値(磨き上げ)」

買い手企業は、売り手企業とのシナジー(相乗効果)を期待して対価を支払います。現金や不動産といった目に見える資産だけでなく、以下のような「無形の価値(会社の強み)」を的確に見つけ出し、買い手にアピールすることがM&A成功の大きなポイントとなります。
 
・取引先
買い手が新規開拓しにくい、魅力的な取引先口座を持っているか。
 
・顧客リスト
属性(性別・年齢など)が整理され、使い道のある質の高いリストを持っているか。
 
・従業員
優秀なスキルを持ち、定着率が高いか。(※高い給与だけで引き留めている場合はマイナス評価になることもあります)。
 
・シェア
ニッチな市場でも高いシェア(10%以上など)を持っているか。
 
・特許・技術
買い手企業にとって「確実に利益を生み出す」技術的長所があるか。
 
・特定領域への強み
特定の地域、世代、商品、ネット販売など、確固たる営業基盤があるか。
 
・経営者の人間性・哲学
買い手企業の風土とマッチする経営哲学を持っているか。
 
これらの無形の価値を見つけ出し、企業価値を高める作業をM&A業界では「磨き上げ」と呼びます。この磨き上げを実施することで、たとえ現在赤字であっても、買い手から高く評価されて好条件で成立した事例は数多く存在します。

中小企業のM&Aに向いている相談先とは?

日本の中小企業M&Aにおいては、主に「M&A仲介会社」「M&Aアドバイザリー(助言)会社」「M&Aマッチングサイト」「国の支援機関(事業承継・引継ぎ支援センターなど)」が利用されています。
 
それぞれに特徴がありますが、ここでは民間企業の主流である2つのビジネスモデルの違いについて解説します。

M&A仲介会社(スピード重視・利益相反のリスク)

M&A仲介

売り手と買い手の「双方」と契約し、マッチングから成立までをサポートします。
 
・特徴
双方の妥協点を見つけるため、短期間で成立を目指すことができます。
 
・注意点
「高く売りたい売り手」と「安く買いたい買い手」の双方から手数料を受け取るため、構造的に「利益相反」の問題を抱えています。成立を急ぐあまり、買い手が優遇され、売り手が不利な条件を飲まされるケースも指摘されています。

M&Aアドバイザリー/助言会社(利益最大化・磨き上げの実施)

FA(ファイナンシャル・アドバイザー)

売り手、または買い手の「どちらか一方とのみ」契約し、依頼者の完全な味方としてサポートします。(※アドバンストアイはこの形態です)
 
・特徴
依頼者の利益を最大化するため、条件や価格について相手方と妥協のない交渉を行います。また、売り手側と契約した場合は、すぐに買い手を探すのではなく、まずは前述した「磨き上げ」を実施して企業価値を高める準備期間を設けるため、より良い条件での売却を目指すことができます。

失敗しないために。M&Aの売却・相談先に関する疑問(Q&A)

Q. 経済産業省の「中小M&Aガイドライン」では、業者選びについてどのような注意喚起がされていますか?
 
A. 国のガイドライン広報パンフレットでは、トラブルを防ぐためのチェック項目として以下のような確認を推奨しています。
 
・仲介者と、片方のみから受任する業者(アドバイザリー)の違いを理解しているか
・手数料の算定方法や最低手数料の有無
・セカンドオピニオンや中途解約は可能か
 
特に、仲介者の場合は構造的な利益相反のおそれがある点について明確に注意喚起が行われています。
 
Q. 現在、仲介会社から「御社の純資産(貸借対照表)から計算すると、売却価格はこの金額になります」と提示され、思ったより低くて悩んでいます。
 
A. その算出方法は「純資産価額」と呼ばれ、御社がこれまで培ってきた顧客基盤、従業員の技術、独自のノウハウといった「無形の価値(のれん代)」が全く評価されていない可能性があります。
 
もし提示された金額に納得がいかない場合は、安易に合意せず、売り手側の価値を適正に評価するM&Aアドバイザリー(助言)会社へ「セカンドオピニオン」を依頼し、時価純資産法に基づく本来の企業価値を再評価してもらうことを強くお勧めします。

まとめ:自社の価値を正しく評価し、真の味方となるパートナーを

中小企業のM&Aを成功させるためには、自社の「無形の価値(強み)」を的確に見つけ出し、適正な算出方法で企業価値を評価することが不可欠です。
 
そして何より、構造的な利益相反のリスクを理解した上で、「誰が本当に自社の利益を最大化してくれるのか」を見極めることが成功の絶対条件となります。
 
アドバンストアイは、M&A仲介は一切行わず、ご依頼主様の利益最大化のために動くM&Aアドバイザリー(助言)会社です。事業の「磨き上げ」から適正価格の算出まで、経営者様の想いに寄り添いながらサポートいたします。
 
現在の交渉に対するセカンドオピニオンをご希望の方も、正式なご契約に至るまで費用は一切いただきませんので、どうぞお気軽に私たちへご相談ください。

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