赤字でも評価される?「社長の理念」と「明るい組織風土」が企業価値を飛躍させたM&A成功事例

社長の理念・従業員が明るい職場が評価された事例

M&Aにおいて、企業の価値を決めるのは決して決算書の数字(財務的価値)だけではありません。経営者の哲学、会社の存在意義、そして「従業員が笑顔で働く明るい職場」といった数値化できない無形資産(ソフト面の価値)が、買手企業から高く評価されるケースも多々存在します。
 
今回は、収益面での赤字というハードルを乗り越え、社長の経営理念と現場の熱量が投資家の心を動かし、出資による資金調達を実現した「介護デイサービス事業会社」の事例を解説します。

【背景】「理想の介護」を追求した結果の資金繰り悪化

【背景】経営理念を実現するための設備投資で資金繰り悪化に

対象となった企業は、介護事業に長年携わってきた社長が「利用者に毎日笑顔で帰ってもらうこと」を理念に掲げ、賛同する仲間とともに設立したデイサービス事業会社です。
 
介護事業は保険制度によって料金体系が定められているため、コストを抑えた必要最小限のサービスにとどまらざるを得ない事業者も少なくありません。
 
しかし同社は、しっかりとしたリハビリで体力を向上させ、要介護度を改善させる「積極的な介護」を目標としていました。その結果、運動のための高額な機材を揃える設備投資が重くのしかかり、社長が私財を投じても資金繰りが悪化し、事業の売却を検討せざるを得ない状況に陥ってしまいました。
 
従来型の簡素なサービスへ移行してコストを下げる議論もありましたが、創業の原点である理念を曲げることはできなかったのです。

徹底した「従業員教育」が赤字の要因であり、最大の強み

【磨き上げ】採算ベースに載せるのを遅くしている原因は何か?

資金繰り悪化の原因をさらに深掘りすると、設備投資だけでなく、理念を実現するための「従業員教育」に他社の数倍の時間とコストをかけていることが判明しました。
 
この過剰とも言える教育コストが採算化を遅らせていた直接の原因でしたが、同時に会社の最大の強み(無形資産)を生み出していました。接客方法から基本理論までを徹底的に学んだスタッフは自信にあふれ、利用者に対して一切の不安を感じさせない本物の笑顔で接していたのです。

同業では届かなかった評価、動かしたのは異業種の「本気」

M&Aの買い手探しにおいて、当初は同業の大手企業十数社へ打診しましたが、社会的意義は認められつつも「収益力の低さ」と「規模の小ささ」から、現場視察に進むことすら難しい状況でした。
 
しかし、この素晴らしい現場の雰囲気を伝えずに諦めることはできないと判断し、社会貢献活動に力を入れている「スポーツ関連企業のオーナー」へ、現場の写真を多数同封した手紙を送りました。
 
実際にオーナーが現地視察に訪れると、スタッフは弾けんばかりの笑顔で迎え入れました。高齢者と笑顔で会話するスタッフの姿を見たオーナーは、そこに「必ず元気になって長生きする」という明確な目的を持ったコミュニティが存在していることを肌で感じ取り、必要な資金の出資(M&A)を即決したのです。

買手企業は「明るい職場」のどこを評価するのか?

今回の事例のように、ビジョンが組織全体に共有され、従業員が前向きに働く「明るい職場」は、買手企業にとって「安心して買収できる」という極めて大きな評価ポイント(安心材料)になります。
 
明るいだけでM&Aが成立するわけではありませんが、「清潔・誠実・オープンで前向きな雰囲気」は掛け値なしに印象を良くし、企業価値を大きく押し上げる要因となります。

自社の「見えない価値」に気づくためのQ&A

Q. 現在赤字続きで債務超過寸前です。それでもM&Aによって会社を立て直すことは可能なのでしょうか?
 
A. 十分に可能です。今回のデイサービス事業の事例のように、財務上は赤字であっても、「教育の行き届いた優秀なスタッフ」「顧客との強固な信頼関係」「独自の経営ノウハウ」といった無形資産が、特定の投資家・買手企業(今回はスポーツ関連企業のオーナー)の戦略や想いと合致すれば、出資や株式譲渡など、様々な形で高い評価を得られるケースは数多く存在します。
 
Q. 自社の「無形資産(強み)」が何なのか、自分たちではよく分かりません。
 
A. 自社の強みは、社内にいると「当たり前」になってしまい気づきにくいものです。また、成約スピードを優先する仲介会社の場合、決算書の数字だけで機械的に選別されてしまうケースも見受けられます。
 
もし自社の真の価値を適正に評価してもらいたい場合は、財務だけでなく組織風土や事業のポテンシャルまでを言語化し、「磨き上げ」を行ってくれるM&Aアドバイザリー(FA)へご相談(セカンドオピニオン)することをお勧めします。財務諸表には表れない「想い」や「組織風土」が、企業の未来を切り開く最大の武器になることがあります。

アドバンストアイは、経営者様の理念や従業員の方々が築き上げてきた価値を深く理解し、それを最も高く評価してくれる最良のパートナー(出資者や買手企業)を探し出すM&Aアドバイザリー会社です。
 
「うちの会社に、売却や資金調達につながるような価値があるだろうか」と少しでもお悩みの経営者様は、ぜひお気軽に私たちへご相談ください。

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