債務超過でも会社は売却できる?「6000万円の債務」を抱えたWEB会社がM&Aに成功した理由

「債務超過だから、会社を売るなんて無理だ」
「銀行からも融資を断られ、廃業するしかないのか…」
 
そう諦めている経営者様はいませんか。
 
M&A市場において、「債務超過=売却不可能」ではありません。たとえバランスシートが傷んでいても、「本業で稼ぐ力」や「独自の技術」があれば、買い手にとって魅力的な投資対象になり得ます。
 
この記事では、過去のリーマンショックで6,000万円の債務超過に陥りながらも、その技術力が評価され、M&Aによる再生・成長を果たしたWEBシステム開発会社の事例をご紹介します。

結論:「債務超過」でも会社は売れますか?

「債務超過に陥っている会社なんて、誰も欲しがらないだろう」
「銀行からの追加融資も断られたし、もう廃業するしかないのか…」
 
そう考えて、誰にも相談できずに一人で悩んでいる経営者様は非常に多いです。
 
しかし、結論から言うと、債務超過であっても会社を売却することは十分に可能です。
 
むしろ、優れた技術やノウハウを持ちながら財務だけが傷んでいる企業は、M&A市場において「掘り出し物」として人気を集めるケースさえあります。

買い手が見ているのは「過去の借金」より「未来の収益力」

なぜ、借金まみれの会社が売れるのでしょうか。その理由は、銀行とM&Aの買い手では、企業の「見る場所」が全く異なるからです。
 
■ 銀行の視点(過去を見る)
銀行は融資の審査において、企業の安全性を重視します。そのため、貸借対照表(B/S)を見て、資産より負債が多い(債務超過)と分かった時点で、返済能力がないと判断し、融資を断ります。
 
M&A買い手の視点(未来を見る)
一方で、事業会社や投資家といった買い手は、「損益計算書(P/L)」や「現場の技術力」を重視します。彼らが欲しいのは、その会社が持っている稼ぐ力です。
 
たとえB/Sが傷んでいても、「本業でしっかりと利益(営業黒字)が出ている」のであれば、その会社には価値があります。
 
過去の負債については、スポンサーによる資金投入や、金融機関との調整を含むM&Aスキームを駆使することで解決可能です。「今は黒字だが、過去の借金が重い」という場合こそ、M&Aによる再生が最も効果を発揮するものです。

【事例】V字回復後の成長戦略と資金調達の課題

創業15年、従業員30名規模(アルバイト含む)のウェブシステム開発会社。55歳の創業社長が率い、特にSEO技術に定評があり、大手企業のウェブサイト運営も受託しています。
 
アルバイト人材を有効活用する独自の技術を構築し、高いコスト競争力を実現している点も強みです。
 
しかし、リーマンショックを機に業績が悪化。2年間で累計6000万円の赤字を計上し、債務超過に陥りました。現在も2000万円の銀行借入は返済猶予中で、追加融資は困難な状況でした。

技術はあるのに「資金」がないジレンマ

この会社の債務超過の背景を調査すると、直接的な原因は、リーマンショック後の連鎖的な経営悪化にありました。納品先の倒産による売掛金の回収不能やプロジェクトの中断が相次ぎ、収入が著しく減少していたことが大きな要因でした。
 
その一方で、社長が外注先との信義を重んじて契約を継続したため、支出が収入を大幅に上回る「収支の逆転」で、多額の赤字が生じていました。
 
このことを教訓に、同社は徹底したリスク管理体制を構築します。プロジェクト期間の細分化や与信調査の厳格化といった施策を断行し、業績はV字回復し、現在では安定した黒字経営を実現しています。
 
しかし、過去の債務超過と借入過多が足かせとなり、金融機関は追加融資に難色を示しています。事業面では豊富な引き合いがあり、運転資金さえ確保できれば、まだまだ成長できる可能性がありました。
 
このような状態を打破するためには、資金力のある企業の支援が不可欠であり、適切なパートナーシップが実現できれば、同社の事業が伸びるのは間違いないと判断できます。

借金をどう処理する?「第三者割当増資」によるM&A

買い手企業を探す中で、ある消費者向けのウェブサイト運営会社が興味を示しました。両社の顧客層が競合せず、高いシナジー効果も見込まれると判断されて、交渉は進んでいきました。
 
最終的に、3000万円の第三者割当増資というかたちで資本参加が決定。この資本注入により、課題であった債務超過は一気に解消され、事業拡大に必要な運転資金も確保されました。
 
また、交渉の過程では、社長が自身の報酬をすべて銀行返済に充てていた事実が判明。その経営に対する姿勢は、買い手企業から「この社長となら共に進める」と、人間性も含めて高く評価されました。
 
M&A後、過半数株主となった買い手企業から安定的な発注も加わり、営業利益は1000万円代へと飛躍。社長も留任し、両社の強みを活かした理想的なパートナーシップがスタートしました。

売れる会社と売れない会社。ポイントは「債務超過の質」

債務超過でも、重要なのはその「質」を見極めることです。同じ債務超過でも、未来の可能性があるものと、一刻も早く撤退を決断すべきものとでは、大きな差があります。
 
まず見るべきところは、「現在の事業は、健全に黒字を生みだしているか?」ということです。債務超過の原因が「過去の負の遺産」であり、現在は真摯に本業に取り組んでいるのなら、活路は必ず見つかります。経営者が誠実に再建へ向き合うその姿勢も、大きな評価ポイントになります。
 
大切なのは、債務超過にとらわれず、自社の事業価値を再発見することです。自分たちでは気づかない強みを、思わぬ第三者が高く評価してくれるケースは決して珍しくありません。日本全体で通用する技術でなくとも、ある特定の企業にとって必要な機能やサービスであれば、グループの一員として安定的に存続する道も開けます。
 
ただし、毎年のように赤字が続いている状態で、それを断ち切る有効な手立てもないのなら、それは事業の延命ではなく、撤退を考えるべきサインです。早く決断することも、経営者としての責任であるともいえます。
 
債務超過がどのようなタイプなのか、その質を分析し、自社の本当の価値を見つめ直すことがまずは大切です。

債務超過でも売却できたポイント
  • 債務超過の理由が明らかで、現状は黒字化している
  • 仕事の依頼は引きもきらず、資本が入れば事業が伸びる可能性がある
  • 社長の報酬をすべて銀行返済に回す、社長の誠実さ

債務超過企業のM&Aに関するよくある質問

Q. 経営者の連帯保証はどうなりますか?
A. 原則として外れます(解除されます)。
M&Aで買い手企業が借入金を引き継ぐ、または肩代わりして返済することで、前経営者の個人保証は解除されるのが一般的です。これにより、経営者は借金のプレッシャーから解放されます。
 
Q. 赤字でも高く売れますか?
A. 「のれん代(技術や特許)」が評価されれば可能です。
財務上の価値がゼロ(マイナス)でも、独自の技術や顧客基盤に高い価値がつけば、プラスの評価で売却できるケースは多々あります。
 
Q. 従業員に借金のことは知られますか?
A. 秘密裏に進めれば知られません。
M&Aが成立し、財務が健全化してから「提携」として発表すれば、従業員に不安を与えずに済みます。

まとめ:借金は「廃業」の理由にはならない

債務超過は経営上の状態であって、終着点ではありません。
 
アドバンストアイは、複雑な財務案件の解決実績も豊富です。まずはご相談ください。

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