【手遅れになる前に】事業承継は何から始める?「5億円の株に2.3億円の税金」の罠と3つの必須準備

「うちはまだ自分が元気だし、事業承継なんて5年後、10年後でいいよ」
 
このように考えている経営者の方もいるかもしれません。しかし、事業承継の準備を後回しにした結果、いざ子供に会社を継がせようとしたら「多額の税金」が払えず危機に陥るケースも少なくありません。
 
また、後継者がいなくて「第三者への売却(M&A)」を検討する場合も、直前になってから動いたのでは会社は高く売れません。
 
この記事では、事業承継の最大の罠である「税金の問題」と、誰に引き継ぐかによって真逆になる「事前準備(磨き上げ)のやり方」について分かりやすく解説します。

恐怖!5億円の自社株に「2億3,300万円」の税金がかかる!?

事業承継と聞くと、「社長の椅子を譲るだけ」「名義を変更するだけ」と簡単に考えている方が少なくありません。
 
しかし、そこには経営者や後継者に思わぬ重荷を背負わせる「見えない資産の恐怖」が潜んでいます。

利益を出してきた優良企業ほど「自社株の評価額」が跳ね上がる

長年、一生懸命に利益を出し、内部留保(純資産)を蓄えてきた素晴らしい会社ほど、税務上の「自社株の評価額」は経営者が想像する以上に高くなっています。
 
「現預金なんて手元にそんなにないよ」と思っても、会社が持つ設備や不動産、そして過去の利益の積み重ねが評価され、いつの間にか自社株の価値が数億円規模に膨れ上がっていることも少なくありません。

「税金は現金一括払い」が後継者を借金地獄に追い込む

仮に、評価額が「5億円」になった自社株を、何の対策もせずに子供(親族)へ譲渡、あるいは相続したとします。
 
この場合、約2億3,300万円もの多額の税金(相続税や贈与税など)が発生してしまう計算になります。
 
ここで注意が必要なのが、「税金は原則として現金で、一括納付しなければならない」というルールです。後継者であるご子息が、2億円以上の現金をすぐに用意できるケースは多くありません。
 
結果として、会社を継ぐためだけに後継者が銀行から多額の個人借入を行うか、最悪の場合は「税金を払うために会社そのものを売却・清算する」という本末転倒な事態に陥ってしまうのです。だからこそ、事前準備が重要になります。

「誰に」引き継ぐかで、やるべき準備は真逆になる

事業承継の準備を進める上で、最も重要な分岐点となるのが「誰に会社を譲るのか」という点です。
 
親族(子供など)に継がせるのか、第三者に売却(M&A)するのかによって、これから数年かけて行うべき準備の方向性は、真逆になります。

親族に継がせる場合:株価を「下げる」対策が必要

親族内承継の最大のネックは「多額の相続税・贈与税」です。後継者が税金の支払いで苦しむことのないようにするためには、時間をかけて「自社株の評価額(株価)を計画的に引き下げる」という準備が必要になります。
 
具体的には、役員退職金を支給して利益を圧縮したり、事業に直接関係のない不要な資産(遊休不動産など)を整理・組み替えたりすることで、会社の純資産額をコントロールします。
 
税負担を最小限に抑えながら、安全に株式を移転していくのが親族承継のセオリーです。

第三者に売却(M&A)する場合:株価を「上げる」対策が必要

一方で、親族や社内に後継者がおらず、第三者への事業承継(M&A)を選択する場合は、全く逆のアプローチになります。
 
目的は「会社を1円でも高く、より良い条件で買い取ってもらうこと」ですから、「企業価値(株価)を徹底的に引き上げる」ための磨き上げを行わなければなりません。
 
これまでの節税対策で意図的に下げていた利益を正常な状態に戻して「本来の稼ぐ力」を証明し、さらには決算書には載らない見えない価値(独自のノウハウ、強固な顧客基盤、ブランド力など)を可視化します。
 
買い手企業に「この会社なら高くても買う価値がある」と確信させる魅力的な会社へとプロデュースしていく作業が必要です。

事業承継の本質。引き継ぐべき「3つの柱」とは?

事業承継では何を承継するのか?

事業承継と聞くと、「代表取締役の登記を変更する」「代表印(ハンコ)を渡す」といった表面的な手続きをイメージされる方が多いかもしれません。
 
しかし、それは単なる名義の変更に過ぎません。事業承継の本当の目的は、「誰が社長になっても、今まで通りに会社が利益を生み出し、回り続ける状態を作ること」です。
 
そのためには、会社を形作る以下の「3つの柱」を、確実に後継者へと引き継ぐ必要があります。

1. 「人」の承継(社長の顔パスからの脱却)

中小企業で最も多いのが、「あのお客様は、社長個人の顔で繋がっている」という状態です。
 
従業員との信頼関係や、長年の取引先・顧客との強固な関係を、社長個人への依存から「会社組織への信頼」へと移行させなければなりません。

2. 「経営」の承継(ノウハウの仕組み化)

社長の頭の中にある営業ノウハウ、独自の経営判断基準、ベテラン職人の技術。このような「長年の勘」を、誰でも見て実践できる形に「マニュアル化・仕組み化」することが重要です。
 
こうした仕組み化が進んでいる会社は、M&Aで第三者に売却する際にも「再現性の高い優良事業」として高く評価されます。

3. 「資産」の承継(株式や不動産のスムーズな移行)

前章で解説した自社株はもちろん、現預金や、会社で使用している不動産(社長の個人名義になっているケースも多く見られます)などを、税金面や権利関係のトラブルなく、スムーズに後継者へ移転させます。
 
この「3つの柱」を誰もが扱えるように磨いてから渡すこと——それこそが、事業承継を成功させるための「磨き上げ」なのです。

よくあるご質問(事業承継の準備について)

Q. 事業承継の準備は、いつから始めるべきですか?
A. 理想は「引退を考える5〜10年前」からです。
親族に継がせるための「株価引き下げ対策」や、後継者育成には数年単位の時間がかかります。また、第三者への売却(M&A)を選ぶ場合でも、会社を高く売るための「磨き上げ」期間を含めると、最低でも1〜3年は必要です。「まだ早いかな?」と思うタイミングでご相談いただくのが、一番選択肢が多く、安全な方法です。
 
Q. 親族にも社内にも後継者がいません。廃業するしかないのでしょうか?
A. いいえ、廃業の前に「M&A(第三者承継)」を検討してください。
現在、中小企業の事業承継の多くがM&Aによって解決されています。「ウチのような小さな会社は売れない」と思い込んでいる経営者様も多いですが、独自の強みや顧客基盤があれば、異業種や大手企業が高値で買い取ってくれる(そして従業員の雇用も守られる)ケースが数多くあります。
 
Q. 親族に継がせるか、M&Aで売却するか、まだ決まっていませんが相談できますか?
A. はい、もちろんです。
むしろ、その「方針が決まっていない段階」でのご相談が大半です。アドバンストアイでは、まずは現状の財務状況や自社株の評価額(現在地)を診断し、親族承継とM&A、それぞれのメリット・デメリットをシミュレーションした上で、経営者様にとって一番幸せなゴールを一緒に探します。

まとめ:事業承継の第一歩は「現状の可視化」から

事業承継は、経営者様にとって「会社の未来」と「ご家族の生活」を守るための、最後にして最大の経営課題です。
 
準備を先延ばしにしてしまうと、突然の体調不良など万が一の事態が起きた際、残されたご家族や従業員が「多額の税金」や「会社の清算」という重い十字架を背負うことになってしまいます。
 
「親族」「従業員」「M&A」。どの道を選ぶにせよ、成功の鍵は「1日でも早く準備(磨き上げ)を始めること」に尽きます。
 
だからこそ、まずは「今の自社の株価(企業価値)はいくらなのか?」「税金はどれくらいかかるのか?」という現状の可視化をすることから始めましょう。
 
アドバンストアイは、事業・財務の専門家として、貴社の最適な事業承継プランをゼロからサポートいたします。ご相談は無料ですので、ぜひ一度お問い合わせください。

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