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会社の売却を決断するとき、「自社がいくらで売れるのか?」という価格(バリュエーション)に目が行くのは当然のことです。
しかし、M&Aは会社を売却して終わりではありません。もし、買い手が買収後に従業員のリストラを行ったり、長年培ってきた企業文化を無視したりしたらどうでしょうか。
売却金を手にした一方で、大切な従業員や取引先を不幸にしてしまったとしたら、そのM&Aは本当に成功したと言えるのでしょうか。
今回は、売却価格だけでなく、従業員や取引先の未来も守るために、どのような買い手を選ぶべきかについてご紹介します。
目次
当然ながら「自社がいくらで売れるか」という売却価格は最大の関心事です。M&Aアドバイザーも、より高い売却条件を引き出すために尽力します。
しかし、最高価格を提示した買い手が、会社を単なる「投資対象」としか見ていなかったらどうでしょうか。買収後すぐに主力事業を切り売りしたり、短期的な利益のために従業員を大量解雇したりするかもしれません。
M&Aで重視すべき条件は、売却価格だけではありません。例えば、次のような点も重要です。
• 売却後も従業員の雇用と生活を守ってほしい
• 自社が育ててきた事業やブランドを、さらに発展させてほしい
• 長年関係を築いてきた取引先との良好な関係を維持してほしい
経営者によって求める条件は異なると思いますが、提示した条件が守られてこそ、「良いM&Aだった」と心から納得できるのではないでしょうか。
実際、売却価格だけで決めてしまい、買い手企業の理念や方針を十分に確認しなかった結果、「こんなはずではなかった」と後悔する経営者は少なくありません。
「社員は家族だ」という想いで社員の誕生日会を開くなど、家族的な経営文化を大切にしてきたとします。
買収後、外資系ファンドや効率重視の大企業が、「今日からすべてKPIで管理する」「会議は英語で実施」「詳細な業務報告を毎日提出」といったドライな文化を持ち込みました。
これまで「社長の想い」に応える形でモチベーションを保ってきた古参社員や中核人材は、「自分たちの居場所はなくなった」と感じ、次々と会社を去っていきました。
結果として、買い手は高額で会社を買ったものの、その価値の源泉であった「人」を失い、事業は停滞。あなたの手元には売却益が残りましたが、家族同然だった社員たちは失われました。
「品質だけは譲れない」と守り抜いてきた製品や、利益を削ってでも続けてきた手厚い顧客サポートがあったとします。それこそが、他社にはない「ブランド価値」でした。
しかし、短期的な利益を追求する買い手は、真っ先に材料コストの削減やサポート部門の人員半減を指示しました。
結果、製品の品質は低下し、顧客からのクレームは増大。長年信頼してくれていた顧客や取引先は、「昔は良かったのに…」と離れていきました。何十年もかけて築いたブランドは、わずか数年で失われたのです。
M&Aが成立した後も、経営者は引継ぎのために一定期間(ロックアップ期間)、会社に残ることを求められる場合があります。
その期間中、上記の①や②の理由で、従業員が辞めていく姿、顧客が離れていく現実、そして大切にしてきた理念が「非効率」の一言で切り捨てられる現場を目の当たりにすることになります。しかし、すでに経営権は買い手に移っているため、もう何もできません。
「なぜ、あんな相手に売ってしまったのか」
「お金と引き換えに、大切なものを失ってしまった」
こうした「売却後の後悔」こそが、価格だけでM&Aの相手を選んだ経営者が直面する、最も深刻な失敗です。
それでは、会社と従業員の未来を安心して託せる買い手を見つけるには、どうすればよいのでしょうか。
価格はもちろん重要です。しかし、それだけでは不十分です。買い手候補を選ぶときは、以下の3つのポイントを確認しましょう。
これは、買い手の事業と自社の事業を掛け合わせることで、「1+1=3」以上の相乗効果を生み出せるかという視点です。
重要なのは、「両社が組む必然性」があるかどうかです。
従業員の未来は広がるか?
• 全国展開や海外拠点を持つ買い手なら、営業担当はより広いフィールドで活躍できる
• 買い手の開発技術と自社の製造ノウハウを結び付ければ、従業員はより高度な仕事に挑戦できる
事業はさらに成長できるか?
• 買い手のブランド力やマーケティング力を活用し、自社製品をより多くの顧客に届けられる
• 買い手のリソース(人材、資金、設備)によって、これまで実現できなかった新規事業や投資が可能になる。
企業文化の相性は見落とされがちですが、M&Aの成否を左右する最重要要素です。
企業文化とは、「会社の空気」のようなものです。価値観、意思決定のスピード、従業員への接し方、リスクの取り方、仕事の進め方など、明文化されていない暗黙のルールを指します。ここが合わなければ、必ず組織内に軋轢が生じます。
よくある文化の違い
• じっくり議論して決める会社 vs トップダウンで即断即決する会社
• プロセスや協調性を重んじる会社 vs 結果(数字)がすべての会社
• 家族的で温かい人間関係 vs ビジネスライクでドライな人間関係
そして3つ目が、価格を含む経済条件です。ここで重要なのは、提示価格の数字だけを見るのではなく、契約条件の中身を精査することです。
提示価格は妥当か?
自社の企業価値(将来性や技術力など目に見えない価値も含む)が、正当に評価された金額になっているか確認しましょう。
「価格以外」の条件はどうか?
価格交渉とセットで、以下の条件を明確にする必要があります。
• 従業員の雇用維持
「最低2年間は現行の労働条件で雇用を維持する」といった具体的な条項を盛り込めるか
• 経営者の処遇
役員退職金は支払われるか、引継ぎ期間(ロックアップ)の報酬はいくらか
• 支払条件
売買代金はどのように支払われるか
※ファンドなどは、業績連動で後払いにする「アーンアウト条項」を提示することがあるため注意
例えば、最高価格を提示したA社と、価格は2番手だが「従業員の雇用を5年間保証し、役員退職金も満額支払う」と提示したB社があったとします。
どちらがあなたと従業員にとって良いパートナーでしょうか。最善の買い手を選ぶには、シナジー、企業文化、経済条件の3つを総合的に比較検討することが不可欠です。
価格はもちろん重要です。しかし、M&Aの成功はそれだけでは決まりません。
会社が大切にしてきた価値観を理解し、従業員の未来を真剣に考えてくれる買い手かどうか。これも同じくらい重要な判断基準です。
価格交渉はM&Aアドバイザーに任せ、経営者自身はトップ面談を通じて相手の人柄や理念を見極めましょう。「この相手なら安心して任せられる」と心から思えるまで、じっくり検討することをおすすめします。
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